七物語
テレビはつけっぱなしで、間もなく8時からのバラエティーが始まる。
毎日かかってくる電話といえば加奈子…
いつしか親や彼氏よりも着歴の大部分を占めていた。
「……聞いてる?……ねぇ!」
「…ん?…あ…ごめん!…もう一回言って…」
「…もういいよ~だ!」
電話の向こうで加奈子が舌を出しているのが分かった。
「………ごめんね!今難しい問題解いていて…それ終わったらもう一回言って…!」
「……はいはい…どうぞ!……あっ……ねぇねぇ美沙!雪降ってきたよ!」
ふと窓の外を見ると白いものが点々と窓をかすめていた。
「……ホントだ!なんか久々に見た…!」
「…はぁ~ぁ…なんか雪見ると切ないなぁ…」
「…そぉ~ぉ?」
美沙がクスッと笑いながら言った。
「…あ!…今バカにしたでしょ!」
「…いや?してないよ~」
「してるね!…いいですよ~どうせあたしには出会いがありませんよ~!」
「…ハハハ!ごめんごめん!」
だんだん加奈子のペースに飲まれてきたことに気付き再び問題を解き始める。