七物語
「……………」
辺りを見ても燃やせるものはない…
「……あんだろそれ!」
男が指したのは氷山のリュックだった。
「……ちょ…ちょっと待ってください…!そんなこと言ったらあなたのだってあるじゃないですか…!」
男の横には赤いリュックが置かれていた。
「…そもそもこうなったのも…お前らが悪い!…お前らインストラクターはこうなるの分かってたんだろ?!」
「………………」
何も言えなかった…
実際にそうだからだ…
あの時の警告を聞いていればこんなことにはならなかった。
久しぶりの体験者を目の前に強がっていた自分もいた。
確かに自分が悪い…
心の中でそう何回も反省した。
「……分かりました……私のリュックを燃やしてください……」
そう言うと氷山はリュックの中身をすべて床に撒き散らし、そのまま男に差し出した。
私がインストラクターの資格を初めて得たその日に今の社長がくれたリュックだった。