七物語


「…違げぇよ!!俺が聞いてるのはなんで留めなかったんだってことだよ!!」
女に当たりそうな勢いだったため軽く前に出た。
「…留めた!留めたよ…!!でも……私が目を離した隙に……」
「………ちきしょう!!」
男はそう言うと戸を開けて飛び出していった。



ビュウウウゥ…
と勢いよく吹雪が入ってくる…




「………私たちも捜しに行こう…!」

女性の手を引き、男性の後を追った…





女は涙を流しながらも氷山の手を握る。



2人っきりで手を繋ぐというあまりにもうまくいきすぎた展開に心臓の鼓動が止まなかった…





できればこのまま2人になっていたかった…






雪山で遭難した2人が恋におちるのも悪くない…












「……氷山さん………痛い…です…」
「…ん?……あ…ごめん…」
思わず握る手が強くなってしまった。







目が合うと再びドキッとする…




こんな状況にもかかわらず氷山の心は高揚していた…
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