七物語
呆れて氷山は言った。
「……はぁ…分かりました。……私が行ってきます…。」
「………大丈夫です…!…私が行きます…!」
「……いいえ…。……ここで待っていてください…!」
「…………………」
女は不機嫌そうにしていたが、さすがに彼女まで死んでほしくない……そう思っての決断だった。
外に出て自分の判断に後悔した。
「……寒い…!」
辺りはもう薄暗くなってきており、それと共に気温は一気に下がるのを肌で感じた。
結局男はまだ生きていた。
氷山の姿に気づくと立ち上がって軽く会釈した。
「……大丈夫ですか…?」
「…大丈夫です…………もう少しここにいさせてくれねぇかなぁ…」
男はこんな極寒の中にもかかわらず声一つ震えずに答えた。
「………………分かりました。」
恐らく何を言ってもダメだろう…
そう思うと氷山はその場を去った。