七物語
女は氷山が追っていくのが精一杯の速さで、まるで小鹿のように雪の上を駆けていった。
そして、いつもより早めに大木(たいぼく)が見え始める。
だが…木に近づいても男の姿は一向に見えない……
そして…
その代わりに見え始める4本の腕……
ライトに照らされて不気味に映った…
「………バカな!!……確かにさっきまで生きていたはずだ…!」
「……私が来たときには…もう………」
なんでだ……!?
やはり幽霊の仕業なのだろうか……!
すると…
女が自分の後ろから抱きついてきた…
「………氷山さん…!怖いよ…!」
女は高くキレイな声でそう言った。
「…大丈夫…!……大丈夫だから…!!」
振り返って自分も女を抱きしめる。
心臓がドキドキしているのが分かった。
「………なんか安心します…」
女は顔を自分の胸にうずめた。
こんな状況にもかかわらず氷山の気持ちは最高潮に達していた。