七物語
氷山はそう心の中で言い聞かせて、自分が早く助かりたい気持ちを隠した。
山小屋を見つけたらこいつらのことを迎えに行って誘導すればいい…!
よし!そうしよう!
そう心に決めて口を開いた時だった……
「……う゛ぅぅぅ……」
ドサッ…!
後ろを振り返ると年長の婦人が顔を青くして座り込んだ。
「……だ…大丈夫ですか?!」
「…マサコ!…しっかりしろ!」
夫と若いカップルが足を止めて婦人を囲む。
やはり年寄りにはこの寒さは応えるだろう…
いや…
これはチャンスか…?
氷山の頭に今の状況にピッタリな言い訳が思い浮かぶ……
「……皆さんはここで待機していてください!…近くに山小屋があるはずですので…私が急いで探してきます…!……その状況じゃマサコさん動けないでしょうから…」
「…すいませんが…お願いします…!」
夫が眉をひそめて言った。