彼は私の金魚。


「はぁ…爽、行きますよ。
 そろそろホームルームが始まるわ。」

「はい。爽世様。」

「ああっ!神宮寺さん、待ってぇ〜!」



甘ったるい声をあげる、橘のどかを置いて

私は教室へ入り、席に着いた。

予鈴と共に教室の扉が開いた。



「はぁ〜い、みんな席に着け—
 出席取るぞー」



かったるそうに出席を取るこの教師は、

澤口先生。

この学園の教師にしては珍しく

生徒の機嫌取りをしない人だ。


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