彼は私の金魚。



「先生は不在のようですね。」



爽は私をそっとベッドに寝かせた。



「大丈夫だと言うのに。」

「いえ、少し休まれてください。」



爽は私に背を向けて近くの椅子に座った。



「何故背を向けるの?」

「……。」

「爽?怒っているの?」



私に向けられた背中はあの頃と違って広く、

気づいたら手を伸ばし爽の背中へ触れていた。


< 32 / 65 >

この作品をシェア

pagetop