彼は私の金魚。


私は病室を出て

誰もいない広いロビーのソファーに座った。

目の前の四角く大きな水槽に

赤い金魚が一匹。

フワフワと漂ってみたり、

水槽の隅でじっとしたりと

掴みどころがない。

金魚をしばらく見つめていると、

私の目の前で動きを止めた。

じっと私を見ているみたい。



「お前も一人なの?私と一緒だね。」



そう私がつぶやくと金魚はまたフワフワと漂いだした。


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