きみを好きになる瞬間
しょうもない愚痴だけど、咲はめんどくさそうにしながらも聞いていてくれていた。
「でさあ、高橋ってばこの間紙パックのジュース買ったときに、」
「力込めすぎて中身が溢れたの?」
「―――!?」
今の返事は咲じゃない。
慌ててばっと振り向くと、私の後ろには結生がいた。
咲も目を見開いて少し驚いていた。
「……なんで…」
「なんでって、高橋くんならやりかねなさそうだから」
「そうじゃなくて…」
後ろで囁かれたとき、背中のあたりがぞっとした。