きみを好きになる瞬間
ほっとして私は少しテンションが上がる。
あとはまあうまくやり過ごして、結生に私のことを諦めてもらおう。
そして私は平凡な学校生活を後にするんだ。
その夢も遠くない気がしていた。
そのあと、家に帰宅してしばらく自分の部屋でごろごろしていた頃、インターホンの音が聞こえた。
…誰だろう。
まあ、多分お母さんが出ると思うけど。
特に気にも止めずに視線を漫画雑誌に移すと、今度は階段を上ってくる足音が耳に入る。
…なんだ?ゆっくりしたいのに。
「弥生ー?お客さんよ」
お母さんの声を聞いて私が体を起こすのと同時にドアが開かれる。
開かれたドアの向こう、お母さんの後ろに。
結生が立っていた。