きみを好きになる瞬間
「…声、我慢しなよ」
「な…!なんで入れちゃうのお母さん!」
「なんでって、久しぶりに遊びに来てくれたんだしいいじゃない」
「………!」
納得いかない顔で押し黙る。
「じゃあ結生くん、ゆっくりしてて。飲み物持ってくるから」
平然とした顔で私の部屋に入ってくる結生と、その場から向きを変えて階段を降りていく母を正直引き止めたかったけど、引き止めたところでなんにもならないから私は黙り込んでいた。