きみを好きになる瞬間
「…ずるいじゃない、結生!家にまで押し掛けてくるなんて…!」
「ごめんね、弥生…最近中々一緒にいられなかったから」
そうやって寂しい顔をして、切ない声を出して、同情心を煽ってる。
そもそも結生は本音を悟られたくないときは、言葉を数多く並べて誤魔化している気がするから、嫌だ。
「もう…お母さんが飲み物持ってくるらしいから、それ飲んだらすぐ帰ってよ!」
「来ないよ、『いいです』って断っておいたから」
「な…」
一体、結生は、今何をしに来たというのだろうか。