きみを好きになる瞬間


「ねえ、満更でもないの?」


結生が私の顔を覗き込む。
私を性的にどうこうするつもりじゃないんだ。私の反応を、完全に楽しんでいる。


なんのつもりなんだろう。
『高橋と付き合っている』という嘘に対して腹を立てたのか、それとも普段の私の結生に対するひどい扱いへの仕返しなのか。


私を上から覗き込むその顔は妖しく意地悪に微笑んでいた。



「やっ……!」


慌てて胸を隠す。

なんでこんなことをするのかなんて後だ。
今はとにかくこの状況をなんとかしないとまずい。

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