-Vermillion-

-AVRIL 24 (Mar)-
 階段を駆け上がってくる大きな足音の後、部屋のドアが開いた。
「朱乃、起きろ!遅刻するぞ!」

 いきなり部屋に入って来た真朱の声で飛び起きた。
 目覚ましの音が聞こえなかった……
 急いで着替えると、慌ててリビングに降りた。
「どうしよう…間に合わない…」
「今日は特別にバイクで送ってやるから、飯はしっかり食べて行けよ?」

 出されたコーヒーに口をつけた時、何とも言えない違和感を覚えた。
 何かが違う……そうか、今日はテレビが付いてない。
 テレビを付けた瞬間、真朱が振り向くのを感じた。
 
(本日未明、余山市四丁目にある余山市立病院付近で、
 男性の変死体が発見されました。
 遺体の状況から警察は、一昨日に続く連続殺人事件と同一犯による――)

「また、魔犬が…」
「朱乃?」
「魔犬、魔犬だ…」
「朱乃……」

 私がテレビ画面を睨んだ時、太陽の反射で画面に朱い瞳が映った。
 今日は、お天気だ。

 昼休みの屋上に三人が集まった時、
 今朝のニュースについて爽が熱く語り始めた。

「いいか?ここで俺達が諦めたら、事件は迷宮入りなんだよ!」
「加奈も来る…?」
「今日も行くつもりなの?」
「水野の為だぜ?証拠を出せば警察も、犬探しを始めるさ。」
「これ以上…被害を出さない為に…」
「朱乃まで便乗しないの!」
「まぁいいじゃねぇかぁ。」
「加奈…」
「まぁ警察に目にもの見せるチャンスではあるけど……」

 三人で目配せをした。
 今は、行動を起こす時だ。
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