-Vermillion-

 私は思わず真朱を見た。
 真朱の瞳は茶色だ。それは私が物心ついた時からそうだった。
 
 でも本当はそうではない。
 真朱は小さな頃から黒いカラーコンタクトを付けているのだ。
 
 朱い瞳の上に――

 爽も加奈も、他の誰もがその事を知らない。
 知っているのは家族の四人だけだ。
 
 真朱はきっと、一生隠して生きていくつもりなのだろう……
 男の子が朱い瞳をしているなんて、
 女の私よりもずっとコンプレックスに感じてるはずだから。

 私は真朱の気持ちを察して、
 一生この事を伏せて生きる覚悟と共に、目を伏せた。

「悪かったな、水野!」
「ううん、大丈夫…」
「真朱兄、昔の写真とかないすか?お泊り会の定番ってやつです。」
「爽、今日泊まってく気かよ……」
「あたしも泊まるよ。」
「加奈はいいとして、爽はソファーで寝ろよ。」
「了解す!それより写真、写真!」
「はいはい。どこにあるかなぁ……」
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