-Vermillion-
画面に見入っていた三人はきょとんとした。
「どうして…?」
「今日は二日目でしょ?」
「事件は終わったって事なんじゃねぇ?」
「まさか…」
「犯人がやり口を変えてきたとか?」
「じゃ次はどこをパトロールすりゃいいんだよ……」
「あれ、三人とももう起きてたの?」
真朱が降りて来てこの話は終わった。皆、真朱に心配を掛けたくないんだ。
「何か、拍子抜けだよなぁ……」
「被害者が出なかったんだから、喜ぶところでしょ。」
「雨止まねぇと、捜査に行けねぇし。」
「捜査じゃなくて、ただのパトロールでしょ、あんたの力じゃ……」
「俺様を甘く見んなよ?喧嘩強いのはお前らも知ってんだろ。」
「いくら喧嘩強くても、相手が魔犬じゃねぇ……」
すっかり魔犬という設定で定着してしまっている。
「じゃあ俺こっちだから。また明日!」
「明日は建校記念日。ホームルーム聞いてた?」
「じゃあまた明後日!」
「明後日は、土曜日…」
「じゃあまた来週の月曜日!」
「来週からGWだっての、バカ!」
「えぇぇ!そうなの?」
「次は七日の、月曜から…」
「長ぇ休みだなぁ。」
「そんなに学校行きたきゃ、一人で行け、アホ!」
「次は、五月七日の、月曜からだよ…」
「十連休じゃねぇか!何かしようぜ!」
「一日は真朱の、誕生会やるから…」
「じゃ、またその時に!」
大きく手を振る爽を見送りながら、加奈が大きな溜息を吐いた。
「随分と長いバイバイだこと。」
「そうだね…」
それでもとても平和で、とても幸せな時間だった。