-Vermillion-
-AVRIL 28 (Sam)-
三日間降り続いた雨が嘘のように、爽やかな晴れ空が広がっていた。
昼食後、真朱と掃除をしていたら、あっという間に日が暮れ始めた。
夕食を作る真朱の鼻歌を聞きながら、ソファーに座ってテレビを付けた。
(夕方のニュースです。
本日午前八時頃、余山市五丁目のごみ置き場で、
男性の遺体が発見されました。警察は連即殺人事件の五人目の、
被害者である可能性が高いと見て、捜査を続けていますが、
被害者の体内にほぼ血液が残っていなかった事から――)
「そんな…事件は終わったはず…」
「終わってない。」
「え…?」
「終わってないんだ……」
―――
夕食後、朱乃が風呂に入っている間、俺は部屋に戻って資料を整理した。
隠していたリストを取り出して、机に広げてみる。
名簿上には年齢順に六人。
WNO-Vermillion Eye(92’12’31)
・金 智也 1959.11.11(33) B型 備考:在日韓国系ハーフ △
・奥山洋介 1964.06.28(28) B型 備考:生まれつきの心臓病持ち △
・早川恵子 1973.07.03(19) AB型 備考:血液型 ×
・藤原真朱 1988.05.01 (4) O型 備考:◎
・結城 遥 1991.08.31 (1) A型 備考:未熟児 ○
・森下朱乃 1991.10.02 (1) A型 備考:◎
【・宮川 武 1952.09.25(40) O型 備考:現役1967~】
俺と朱乃の名前の上には、マーカーで色づけしてあった。
だから引き取られたんだろう。
WNOと朱い瞳の人間。そして、ここ最近の連続殺人事件……
これらはどう繋がるんだ?
どちらにしろ、この事は朱乃に言わない方がいい。
両親が偽物で、
俺達が兄妹じゃないなんて知ったら、きっと傷つくし悲しむ……
そんな思いは、絶対させたくない。
俺は関連の資料を引き出しにしまうと、鍵を掛けた。
―――