-Vermillion-
扉の前に、茶髪で制服姿の女の子が立っていた。
あの制服は……西高の生徒だ。
私が扉に向かって行くと、加奈と爽は首を傾げながらついて来た。
足音に気付いて、女の子が驚いた様に振り返った。
目が合った瞬間、私は肝を抜かれた。
その子も朱い瞳をしていたのだ。
私と女の子が向かい合ったまま無言で立っていると、
爽と加奈が追い付いてきた。
「おーい水野、ここか?って……」
「朱乃、この子も目が……」
その女の子は私の目をじっと見ると、加奈と爽に強く言い放った。
「悪いけど君たち二人、外してくれる?」
「おい、てめぇ――」
「爽、加奈、お願い。」
私の口調から何かを察したのか、二人は黙って公園入口のまで戻った。
二人きりになると、その子から口を開いた。
澄んだ声の、可愛らしい女の子だ。
「うちは結城遥、よろしく。君は?」
「水野朱乃、東高の一年生です…」
「君にもこの扉が見えるんでしょ?」
「見える…」
「君もこの扉に触らない方がいい。」
「どうして…?」
「何が起こるか分からないから。」
「一体、何が…?」
「今日はちょっと…番号教えてくれる?またゆっくり話すよ。」
携帯の番号を交換すると、彼女は駆け足で公園を出て行った。
その後姿を目で追っていた加奈と爽は、
それを見届けるとこちらに走って来た。
二人とも凄く苛ついている様だ。爽が声を荒げる。
「何だよ、あの女。気分わりぃな。」
「悪いけど外してくれる?だって。本当、何様なの?」
「遥ちゃん…扉の事も知ってた…」