-Vermillion-
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日曜の午後。
俺はバイト中だっていうのに、まるで集中出来ずにいた。
全ての元凶は今朝の電話だ。
三人が出かけた後、まるで見ていたかの様なタイミングで電話が鳴った。
「久しぶりね、真朱。元気だった?」
「元気だった……でも何で……?」
「あら、親が子供に電話して何がおかしいの?」
「親ねぇ。WNOの職員がよく言うよ。」
「やっぱりバレてた。
離れていても私、ちゃんと一週間置きにチェックしてるのよ?
それが今週は何が見えたと思う?
書斎でリスト見つけて、早速調査開始してる真朱の姿。
ママ本当に呆れちゃったわ。」
「母親面すんなよ、この偽物が。」
「生みの親だけが本当の親って訳じゃないわ。
育ての親だって、立派な両親よ。」
「……っつ。」
「まぁいいわ。そろそろ朱乃を迎えに行くわね。
あの子の方が目覚めが早かったから、今回の番人は朱乃で決まり。
来週末帰るから、朱乃にもそう言っておきなさい。」
「待て!朱乃が何だって……」
切れた電話の受話器を持ったまま、俺は立ち尽くした。
帰って来る……
朱乃は多分、それを聞いて喜ぶだろうけど、俺は全く嬉しくなかった。
迎えに来る?目覚め?次の番人?
分からない事が多すぎて、頭が破裂しそうだ。
恐らく朱乃は、奴らに連れて行かれるのだ。
どこか遠く…俺の手の届かない場所へ。
そんな事、あってたまるか。考えろ、整理するんだ。