-Vermillion-
 ピピピ。
[本文:そろそろケーキの準備しようと
    思うんだけど、話は終わった?]

 加奈からのメールだ。
 もう六時か……今からケーキを焼く時間はない様に思えた。

「もしかして、何か用事あるの?」
「明日、お兄ちゃんの誕生日なの…」
「そっか!じゃ明日また連絡するよ。」
「ごめんね…?じゃあ、またね…」
「うん、バイバイ!」

 待ち合わせ場所に向かいながら、小さな声で美影に確認する。

「美影、遥の言った事、本当なの…?」
-何の事でございましょう。
「あの扉が魔界と、繋がってるって…」
-私はあくまで、貴女の身を守る為に存在する者。
 自分が何者で、何処から来たか……その様な事は知らずともよいのです。

―――
「WはWorldだろうな。Nは後で考えるとして、Oは、Oは……」

 俺は相当参っていた。
 母親が帰って来るまでに何とか謎を解きたいという時間制限と、
 最近やたら外出しているインドア派の妹の行動が、
 俺をひたすら焦らせる。
 
「World N O…Organizationか?」

 世界何とか組織。何の組織だ?
 そこが一番重要じゃないか……俺は溜息を吐いた。
 駄目だ、朱乃の事が気になって仕方ない。一体何処で何やってんだ。

 ピピピ。
[本文:真朱兄、七時からカラオケ
    付き合ってくれないすか?]

 爽からか。こんな時にカラオケなんかよ……
 でも、まぁ気晴らしにちょっと行って来るか。
―――

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