-Vermillion-
-MAI 3 (Jeu)-
翌日遅い時間に起きた皆は、少しぐったりした様子で朝食を取った。
午後になると、私達は中山北水族館へと向かった。
そこはこの近辺では一番大きな水族館で、マリンショーが名物だった。
芸を熟す愛らしい動物達に、うっとりと見入ってしまう。
水族館から戻る途中で日没がよく見える崖を見つけると、
そこで沈んでいく大きな太陽を眺めた。まるで海に溶けていく様だ。
暗くなった頃旅館に着くと夕食を食べ、ゲームやUNOで時間を潰した。
食休みを取ってから、皆でゆっくり大浴場を満喫する。
サウナと岩盤浴でつるつるになってお風呂から上がると、
真朱と爽が卓球をしていた。私達に気付いた爽が手を振る。
「おーい!皆でやろうぜ!」
真朱と交代して私と遥、加奈に爽に分かれ三本勝負をした。
結果は三対一で私達の負け。
爽はスポーツと名の付く物にはとことん強い。
「あたしちょっと休憩するわ。二人がかりで谷村を潰してよね!」
加奈は飲み物を買うと、真朱の隣に座った。
遥が張り切って袖を捲くっている。
「じゃあ朱乃、勝つまでやろうね!」
ようやく爽に勝った頃には、三人とも汗だくだった。
「お前らが弱すぎんだよ!せっかく風呂入ったのに。」
「うるさいなぁ。加奈、うちらもう一回お風呂入って……
あれ。加奈は?」
真朱の姿も見えない。
買い物に行ったか、或いは先に部屋に戻っているのかもしれない。
「まぁ風呂上がった頃には、部屋に戻ってんだろ。お先!」