-Vermillion-

-MAI 3 (Jeu)-
 翌日遅い時間に起きた皆は、少しぐったりした様子で朝食を取った。
 午後になると、私達は中山北水族館へと向かった。
 そこはこの近辺では一番大きな水族館で、マリンショーが名物だった。
 芸を熟す愛らしい動物達に、うっとりと見入ってしまう。
 
 水族館から戻る途中で日没がよく見える崖を見つけると、
 そこで沈んでいく大きな太陽を眺めた。まるで海に溶けていく様だ。

 暗くなった頃旅館に着くと夕食を食べ、ゲームやUNOで時間を潰した。
 食休みを取ってから、皆でゆっくり大浴場を満喫する。

 サウナと岩盤浴でつるつるになってお風呂から上がると、
 真朱と爽が卓球をしていた。私達に気付いた爽が手を振る。
「おーい!皆でやろうぜ!」

 真朱と交代して私と遥、加奈に爽に分かれ三本勝負をした。
 結果は三対一で私達の負け。
 爽はスポーツと名の付く物にはとことん強い。
「あたしちょっと休憩するわ。二人がかりで谷村を潰してよね!」
 
 加奈は飲み物を買うと、真朱の隣に座った。
 遥が張り切って袖を捲くっている。
「じゃあ朱乃、勝つまでやろうね!」

 ようやく爽に勝った頃には、三人とも汗だくだった。
「お前らが弱すぎんだよ!せっかく風呂入ったのに。」
「うるさいなぁ。加奈、うちらもう一回お風呂入って……
 あれ。加奈は?」

 真朱の姿も見えない。
 買い物に行ったか、或いは先に部屋に戻っているのかもしれない。
「まぁ風呂上がった頃には、部屋に戻ってんだろ。お先!」
< 58 / 101 >

この作品をシェア

pagetop