-Vermillion-
#06「The Lovers」逆位置 – 空虚
-MAI 3 (Jeu)-
お風呂から上がって、部屋で爽や遥とUNOをしている時、
真朱と加奈が戻って来た。
「真朱兄、何処行ってたんすか?」
「アイス買いに行ってた。ちょっと溶けてるかもしれないけど。」
「少し溶けてた方が、うち好きだよ!」
「早く食べちゃって!全部カップアイスだけど、色んな味買ったから。」
「朱乃はこれ。はい、バニラな。」
「ありがとう…」
真朱は言わずとも好きな物を渡してくれる。
そんな真朱を加奈がじっと見ていた。
そしてその時は気付かなかったけど、爽も同じく真朱を見ていたのだ。
デザートも食べ終わった所で、そろそろ休む事になった。
左から爽、真朱、私、加奈、遥と並んで布団に潜り込んだ。
時計の音だけが部屋に響く。
全員が眠れないでいるのがよく分かる。
我慢出来なくなった私は、静かに部屋を出た。
海岸が見える旅館の駐車場まで来ると、そっとしゃがみ込む。