-Vermillion-
 部屋に戻ってみると、
 加奈から電話が来ているのに気付いて、急いで折り返す。

‐もしもし朱乃?戻って早々だけど、今日のニュース見た?
「うん、見た…明日はパトロール…?」
‐それなんだけど、今から出て来れる?

 私は電話を切るとリビングに降りた。
 ママがソファーでテレビを見ている。

「ママ、ちょっと出かけてくるね…」
「いいけど、夕飯までに帰って来てね?」

―――
 誰かが出かけた物音がして、リビングに降りてみた。
 母さんが夕食の準備をしている。

「真朱、不貞腐れの時間はお終い?」
「端から不貞腐れてない。朱乃は?」
「出かけた。夕飯までに戻るって。」
「じゃあ、その間に話して貰おうか。」
「何を聞きたいの?」
「WNOと事件の関係。それから、朱乃が連れてる蝶の話だ。」
―――

 待ち合わせ場所には爽も来ていた。
 私は黙って爽の隣に座り、加奈と向かい合う。

「急に呼び出してどうしたんだよ?西山らしくもねぇ」
「二人には悪いけど、あたしもうパトロール行けない……」
「加奈…?何かあったの…?」

「一昨日旅行で占いした時、
 あたしがAB型だって言った時の遥、覚えてる?」

 覚えていた。
 「AB型……?」と聞き返した遥が、
 あの時何とも言えない表情をした事も。

「きっと事件の被害者が全員AB型だから、
 あたしも危ないって思ったんだと思う。」

加奈は静かに目を伏せた。
「ごめん。」
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