-Vermillion-
 私達は無念を抱いたまま死んだ魂に、
 空気・火・土・水の四元素が合わさって出来た、
 ただ”存在”としか名づける事が出来ない者。

「まぁ勿論、WNOにも人間の職員達はいるわ。
 彼らはこの世界で、人間にしか出来ない任務を熟す事になるけど。」

「それで、上に掛け合った結果、
 朱乃の代わりに俺を送り込む事は許可されたのか?」

「残念だけど…駄目だったわ。
 魔界側がもう、次の主人を朱乃と決めてしまったの……」

 母さんは目を伏せた。
 まるで、胸が裂ける様に痛い、とでも言う様に。
―――

 爽や遥と別れると、肩を落として家に帰った。
 今日も成果なし、お手上げだ。ママと真朱が夕食を作っている。
 二人で料理するなんて、珍しい。

「おかえり!今日は俺が飯作るからな、手洗い嗽してそこ座れよ!」
「お兄ちゃんはしっかり者ね。ママはポテトサラダを作りました!」

< 70 / 101 >

この作品をシェア

pagetop