-Vermillion-
小さな控室でぼーっと座っていると、爽と遥が入って来た。
「何度同じ事言わせるの、あの人達。」
「犯人は魔犬だっての。俺は見えなかったけど、気配は感じたぜ。」
腰を下ろして頭を抱えた二人は、ひどく困憊している様だった。
そのまま沈黙が続いて、重たい空気に息が詰まりかけた時、
部屋のドアが開いた。
「今日はもういいって。
家まで送ってくれるらしいから、下に降りよう。」
真朱はそう言うと、私の手を握った。まだ微かに震えが残っている。
「帰ろう、朱乃。帰ろう……」
パトカーの車内は無言だった。
若い女の人の運転はひどく遅くて、気持ちが悪い。
でもきっと運転のせいではない事も、心の何処かで分かっていた。
遥と爽を送った後、車は我が家の前で止まった。
刑事に挨拶して家に入った時、ママはキッチンをぐるぐる歩き回っていたけど、
直ぐに私達に気付いて駆け寄って、ボロボロの姿の二人を強く抱きしめた。
「ごめんね……本当に何てこと……朱乃、あのね……」
真朱は突然ママの手を払いのけると、
その手でママの首を掴んで壁に強く叩きつけた。
「真朱!ママに何て事……」
「お前は部屋に戻ってろ!」
「真朱…?」
「朱乃……いいの。真朱の言う通りにしなさい……」
私は躊躇いながら真朱の後ろを通って駆け足で階段を登った。
真朱、どうして……
「何度同じ事言わせるの、あの人達。」
「犯人は魔犬だっての。俺は見えなかったけど、気配は感じたぜ。」
腰を下ろして頭を抱えた二人は、ひどく困憊している様だった。
そのまま沈黙が続いて、重たい空気に息が詰まりかけた時、
部屋のドアが開いた。
「今日はもういいって。
家まで送ってくれるらしいから、下に降りよう。」
真朱はそう言うと、私の手を握った。まだ微かに震えが残っている。
「帰ろう、朱乃。帰ろう……」
パトカーの車内は無言だった。
若い女の人の運転はひどく遅くて、気持ちが悪い。
でもきっと運転のせいではない事も、心の何処かで分かっていた。
遥と爽を送った後、車は我が家の前で止まった。
刑事に挨拶して家に入った時、ママはキッチンをぐるぐる歩き回っていたけど、
直ぐに私達に気付いて駆け寄って、ボロボロの姿の二人を強く抱きしめた。
「ごめんね……本当に何てこと……朱乃、あのね……」
真朱は突然ママの手を払いのけると、
その手でママの首を掴んで壁に強く叩きつけた。
「真朱!ママに何て事……」
「お前は部屋に戻ってろ!」
「真朱…?」
「朱乃……いいの。真朱の言う通りにしなさい……」
私は躊躇いながら真朱の後ろを通って駆け足で階段を登った。
真朱、どうして……