-Vermillion-

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真朱へ

 何も言わずにいなくなって、本当にごめんなさい。
 実は真朱に言わないといけない事があります。驚かないで読んでね。

 真朱には隠していたけど、私は蝶の美影を話すことが出来るの。
 最初は夢の中だけの存在だった蝶が部屋の窓辺に現れた時、
 美影は私を守る為に来たんだって教えてくれた。
 それともう一つ、私は特別な人間んだっていうことも。

 事件を止める鍵は、私がずっと持っていたの。
 私はあの魔犬の飼い主になる人間で、
 魔界に行って魔犬の面倒を見ないと、事件は終わらないんだって。

 だから私は、この役目を果たしに行こうと思います。

 行かなきゃいけないの。私にも、真朱にも、誰にも止められない。
 もう会うことが出来ないと思うと寂し過ぎるから、
 このまま行くにが一番いいと思って、この手紙を書きました。

 真朱の顔をみたら、決心が揺らぎそう……弱いかな。

 私はただこの世界に居続けても意味がないの。
 存在に意味がないなら、孤独を背負ったまま生きることになっても、
 大切なものを守る為に生きて行きたい。だから、行くね。

 最後に、真朱……私は真朱を愛しています。

                              朱乃より
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