-Vermillion-
#09「Strength」正位置 – 理性
-MAI 10 (Jeu)-
明け方、私は真朱に宛てた手紙を書いていた。
他の三通にはもう既に封をしてある。
夜通し書き続けるのはきついけど、
それでも私は涙を流しながら想いを綴り続けた。
最後の一通を書き終えると、四つの封筒を引き出しに入れて、
半分だけ閉めた。
これでいい。きっと真朱は一番に気付いてくれる。
「よし、書けた…」
ドアを開けると、綺麗に片付けられた部屋を振り返った。
十年以上使った私の部屋。もう此処に戻る事はない。
忍び足で廊下に出て、真朱の部屋のドアをそっと開けた。
此方を向いた顔の鼻の辺りまで布団を被って、ぐっすりと眠っている。
優しい寝顔。それを最後に見られて良かった……
私はドアを閉めると美影を見た。
「じゃあ、美影…」
-主様……ご案内致します。行きましょうか。
私はこっそりを家を出て、美影に連れられて扉の前まで来た。
迷いはない。
扉に触れると、其れは大きな音を立てて開いた。一面の闇しか見えない。
美影の後について、躊躇いもなく闇に踏み込んだ。
罪を償い、使命を果たす為に——