あなたの隣で。




「……明希……?」



まさかと思いながら
恐る恐る明希に話しかける。


だって明希は家で
待ってるって言ってたし。

公園にいるはずがない。



───────だけど振り向いた男の人は……




「………百合?」



明希だったんだ。



「明希?なんでこんなとこに……」



そう言ってわたしは
思わず言葉が途切れた。



明希が…泣いていたから。


「明希…?どうしたの?」



「………っ………」



こんな明希の姿
初めて見た。



こんなに辛そうな顔をして、涙をボロボロと流している明希の姿を。



わたしはそんな明希の姿

を見て胸が苦しくなった。


「明希っ…ねぇ…なんで泣いて…」




────────ぎゅっ



………え?



わたしが聞き終わる前に

わたしは…明希の胸の中にいた。





< 53 / 69 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop