桜‐幕末恋物語‐
母「おちつきなさい。私もお父さんも純血。純血の子はより濃い血を引くの。あたなは最も濃い純血の血をもつ鬼なのよ」
桜「そんな・・・」
母「・・・あなた、人を斬りたいと思ったでしょう?」
私はさっきの池田屋事件でのことを思い出し、苦悶の表情で頷いた。
母「それはまぎれもなく鬼の感情」
桜「鬼の・・・」
母「えぇ。でも何も怖いことはないの。見た目は人間だし、覚醒・・・鬼の力が発揮されてる時だけ髪と瞳の色がかわるだけ。きっと今も変わってると思う。覚醒したのは、あなたが15歳になったから」
15歳になったから覚醒して髪と瞳の色が変わる・・・?
母「あとは・・・人を斬りたいと思うのは守りたい人がいるからおもうだけ。あなたが斬りたいのは“人”ではなくて“敵”。だから心配しないで」
桜「お母さん・・・。さっきから気になってたんだけど、どうして私が幕末にいるのを知ってるかのような口ぶりなの?」
母「私がこっちに送ったから」
悪気もなくそういうお母さんに私は目を見開いて固まることしかできなかった。