桜‐幕末恋物語‐
桜「町は危険ね。巡察してるもの」
私は狭い道を通って丘へと向かう。
その途中で私はふと思った。
もしかしたら、誰も私のことなんて探していないかもしれない・・・。
だって私は人間じゃないのだから。
探しているとしたら、法度違反の切腹をさせるためか・・・。
大切な人たちに殺される?
そんなことを考えながら、心の一部では“彼に会いたい”そんな感情が渦巻いていた。
桜「・・・・・・さん・・・。会いたい・・・」
昨日別れたばかり。
それなのに、どうしようもなく彼に会いたい。
好きだと気づいてしまったその瞬間から、私は心のどこかでそう思わずにはいられなかった。
―――丘を登った私は桜の木にもたれて座ると、町を見下ろした。