桜‐幕末恋物語‐
―――小窓から外を眺める私。
ボーっとしていることで死への恐怖をやわらげている。
すると、そこに誰かの足音が聞こえて来た。
土「おい、入るぞ」
桜「どうぞ」
返事を確認した彼はゆっくりと障子戸を開けて入ってくる。
桜「今から切腹ですか?」
土「いや、切腹はしなくていい。そのかわり・・・」
桜「そのかわり・・・?」
土「ここから勝手に離れるのを一切禁ずる」
つまり・・・
桜「ここにいていいってことですか・・・?」
遠回しな言い方だけど、温かみがこもっていた言葉だった・・・。