桜‐幕末恋物語‐

だけど、この時彼は何か呟いた。

“ますます引き込みたくなっちゃった”

その呟きは私に届くことはなかったけれど、近くにいた土方さんには聴きとれたらしく、険しい顔をしていた。

桜「土方さん?」

土「なんでもない」

私がいいたいことが分かったのか、土方さんは簡潔に答えるとお味噌汁をすすった。


一「そうだ、桜。昼餉を食い終わったら俺と試合をしてくれ」

桜「え・・・」

一「頼む」

桜「・・・はい」

私は一さんの真剣な瞳に負けてそう返事を返した。

最近の隊士さんは、やたら試合を申し込んでくる。

だから、ほぼ毎日試合をしているような気がする・・・。

そのたびに私も強くなっているような気がして楽しいんだけどね。

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