桜‐幕末恋物語‐
その後他の隊士には先に帰ってもらい、私たちは茶店に入った。
羽織は隊士に預けておいたから、今はそんなに目立たない・・・はずだった・・・。
まぁそりゃそうだよね。
お父さんも平助君も整ってるもんね・・・。
目だたないはずがないよね。
そんなことを思いながらお茶をすする私。
お父さんは平助君が気に入ったのか、楽しそうに話をしている。
私は2人の会話を遮ると、お父さんに問いかけた。
桜「お父さん、なんでこっちにいるの?」
父「なんでって・・・。気づいたらここにいた・・・的な?」
桜「はぁ・・・そうですか」
父「そういう桜は?桜がいるってことは母さんもいるのか?」
そういうお父さんに私は躊躇しながら言葉を吐きだした。
桜「お母さんは来てない。・・・お母さん・・・亡くなったんだよ」
目を伏せながらそう言った私に、お父さんは息をのんだ。
そのあと軽く会話をした私たちはそれぞれ帰路についた。
そんな私たちを見ている人がいたなんて私たちは気づいていなかった・・・。