桜‐幕末恋物語‐
予兆
総「桜」
桜「ハイ?」
お父さんと再開したあの日からしばらく経った今日。
洗濯を干していた私を呼びとめたのは総司さんだった。
総「ちょっといいかな?」
桜「少しだけ待って。すぐおわるから」
総「分かった」
私は急いで洗濯物を干していく。
後ろから総司さんの痛いほどの視線を感じながら。
―――洗濯を干し終えた私は、総司さんに連れられて道場の影にいた。
壁に背を預けて総司さんに目をむける。
総「ここならだれもこないよね」
そう呟いた総司さんはすっと息を吸い込んだ。
総「桜って好きな人、いる?」
突然の質問に驚きながら私は正直に頷いた。