桜‐幕末恋物語‐
タイムスリップ
「寒い・・・」
私は今丘の上に立っている。
5月になって少しは温かくなってきたとはいえ、やっぱり夜は冷えるな・・・。
だけど、私にはやらなきゃいけないことがある。
お父さんを探さなきゃいけない。
だから毎日学校から帰ると家の外を歩き回る。
いち早くお父さんを見つけ出したい。
お母さんが死んでしまった今、一人ぼっちになってしまった私にはお父さん以外に頼れる人がいない。
お父さんが行方不明になったのはお母さんが亡くなる5ヶ月前。
今から考えると、半年も前になる。
生死すらも分からない状態であたしは毎日探し続けていた。
夜中も寝ないで歩きまわるおかげで、毎日の睡眠時間は平均2~3時間程度。
そのせいで疲れがたまっていたのか・・・私はその場にあった桜の木にもたれて眠ってしまった・・・。