桜‐幕末恋物語‐
「ん・・・」
ゆっくりと瞼を持ち上げると、丘の下の景色を見て愕然とした。
「・・・私寝ぼけてるのかな・・・」
寝る前は住宅街があったはずなのに今は低い建物しかない・・・。
例えるならば、江戸時代のような・・・。
「おい、そこの怪しいお前」
私が呆然とその景色を眺めていると、突然後ろから声をかけられた。
「・・・」
私はゆっくりと振り返る。
そこには、袴を着て髪を結った侍風の男が2人。
腰には刀をさしている。
「その被りものを外せ」
「・・・」
フードだし・・・。
「無視とはなまいきな!斬り捨ててやる!」
・・・理不尽・・・。
そう思うけれど避ける気にはなれず、私はそのままゆっくりと瞼を閉じた。