桜‐幕末恋物語‐
 桜SIDE

私は井戸の陰に来たところでうずくまった。

かろうじて吐きはしなかったものの、吐き気はまだ残っている。

急に部屋を飛び出した私を皆はどう思っただろう。

まぁ、私はあの人たちと深く関わりあいたいなんて思っていないしどうでもいいや。

お母さんが死ぬ前の私だったら、この状況を喜べただろうに。

もともと私は新選組が好きだった。

でも、感情を表に出せなくなった今、そんなこと関係ない。

ぐったりと座り込んだままそんなことを考えていた時、複数の足音が聞こえて来た。

顔をあげると、右から藤堂さん達、左から沖田さん達が走ってきている。

井戸に用があるのかな・・・。

私はそう思いながら彼等を眺めていた。


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