桜‐幕末恋物語‐
生い立ち
・・・連れて行かれたのは広めの部屋だった。
おそらく局長室だろう。
部屋に入ると、近藤さん、山南さん、土方さんの3人が深刻な顔をしている。
どうやら井上さんは巡察に出たようだ。
近「おぉ!胡桃君!無事だったか」
私はその場に正座すると、短く返事をした。
土「ったく。変な心配かけさせやがって」
めんどくさそうな言い方の癖に、なんだか優しい響きを感じる。
山「心配しましたよ。大丈夫ですか?」
桜「すいませんでした。もう大丈夫です」
土「なんであんな風になったんだ?」
私は土方さんの質問に答えるため、小さく息を吸った。
いつの間にか斎藤さん達もそれぞれ座っている。
私は皆からのまっすぐな視線を受け止め、ゆっくり口を開いた。