桜‐幕末恋物語‐

生い立ち


・・・連れて行かれたのは広めの部屋だった。

おそらく局長室だろう。

部屋に入ると、近藤さん、山南さん、土方さんの3人が深刻な顔をしている。

どうやら井上さんは巡察に出たようだ。

近「おぉ!胡桃君!無事だったか」

私はその場に正座すると、短く返事をした。

土「ったく。変な心配かけさせやがって」

めんどくさそうな言い方の癖に、なんだか優しい響きを感じる。

山「心配しましたよ。大丈夫ですか?」

桜「すいませんでした。もう大丈夫です」

土「なんであんな風になったんだ?」

私は土方さんの質問に答えるため、小さく息を吸った。

いつの間にか斎藤さん達もそれぞれ座っている。

私は皆からのまっすぐな視線を受け止め、ゆっくり口を開いた。

< 44 / 219 >

この作品をシェア

pagetop