桜‐幕末恋物語‐
いつまで経っても痛みに襲われないことを疑問に感じた私はそっと目を開ける。
そこにはさっきの男たちが倒れていた。
「君、大丈夫?」
「え・・・」
顔をあげると、整った顔立ちの男の人が2人。
「・・・大丈夫そうだな」
「そうだね。それより君、怪しいね。一君、斬っちゃおうか」
「・・・総司。副長に迷惑をかけることはするな。お前、ついてこい」
私は小さく頷くと歩き出した彼らの後を追った。
彼らの後を追いかけながら思う。
浅葱色の羽織、“総司”や“一”という名前。
それに周りは低い建物ばかり。
ここはもしかしたら・・・。
「着いたよ」
その言葉で、私の予想は確信へと変わった。