桜‐幕末恋物語‐
しばらく歩いたところで、私は息をのんだ。
桜「藤堂さん・・・」
平「桜も気づいてたか。数は・・・」
桜「10人くらいですかね。前に6人、後ろに4人」
私の言葉に彼は驚いたように目を見開いた。
平「数まで分かるのか・・・」
桜「いじめられてたから気配に敏感なんです」
平「そっか・・・」
少し悲しそうに呟く藤堂さん。
平「おい。俺達は今囲まれてる。あっちが手を出してくるまでこっちからは手を出すなよ」
藤堂さんは後ろにいた隊士さんにそう伝えると、何も知らないかのように歩き出した。
私も平静を装って彼の隣を歩く。
すると、物陰から浪士が飛び出してきた。