桜‐幕末恋物語‐

「・・・斬ってもらえなかった・・・」

私の呟きを聞きとった近藤さんは驚きの表情を浮かべたかと思えば肩をつかんできた。

「君!命を粗末にするんじゃない!」

「ちょ、近藤さん落ち着いてくれよ!」

土方さんの制止の声でやっと解放されたあたし。

「すまん。ところでトシ。この人は一体・・・?」

「・・・胡桃桜。長州の者ではないらしい。それ以前にこの時代の者ではないと言いだしたんだが・・・」

「どういうことだ?」

近藤さんの困惑した表情を見た私は口を開いた。

「私は150年程先の平成から来ました。今で言う江戸に住んでました」

「ほぉ・・・。胡桃君、未来に武士はいるのかな?」

まさかこの人、信じてくれるの?

「いません。平和な世界ですよ。人を殺めれば即罪人として裁かれます」

「そうか・・・」

そう言った近藤さんに土方さんが話しかける。

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