桜‐幕末恋物語‐
池田屋に着いた私は濃い血の匂いに思わず口元を覆った。
息を吐いた私は抜刀すると中に飛び込む。
まず最初に目に入ったのはたくさんの屍・・・。
その中に仲間のものがなかったことに私は安堵の息を吐くと、奥へと進む。
桜「土方さん」
土「胡桃。悪い・・・」
桜「は?」
土「ホントはお前に人を斬らせたくねぇから置いてきたんだが・・・動ける隊士が少なすぎて手が足りん。上に総司がいるから援護してやってくれ」
私は大きく頷くと、階段を駆け上がる。
中ほどまで登ったところで立ちふさがったのはおそらく長州の浪士。
その後ろに何人も待ち構えている。
桜「どきなさい」
私は自分でも驚くくらい低い声でそう呟くと相手を睨んだ。