state of LOVE
重くなったカバンを提げてリビングへ下りると、美緒が何かを引きずって走り回っていた。
「こりゃ。何やってんだ、お前は」
「だー!」
「ん?」
美緒の手にしっかりと握られていたのは、さっきまで洗濯機で回されていた俺の下着で。こらこら…とそれを奪い取り、ぶぅっと頬を膨らせた聖奈に手渡す。
「悪戯しねーの。こう見えて怒ったら怖いよ、うちの奥さん」
「だー」
全く理解していないだろう美緒は、今度は俺が持って下りたカバンの中身を漁ろうとカバンの上へとダイブした。
その拍子に金具で顎を打ち、火が点いたように泣き始める。
「やれやれ。忙しい奴だねー、お前は」
「いちゃー!」
「はいはい。痛い、痛い」
「いちゃー!わー!」
わーわーと声を上げて泣く美緒をあやしていると、ふと聖奈と視線がかち合った。
「どした?俺の下着握り締めて」
「あっ…別に」
「何だよ。お前も抱っこしてほしいのか?」
「ちっ…違いますよ!」
ふいっと背けられた聖奈の顔は、横顔でも見てわかるくらいに真っ赤で。肩に顔を擦り付けながらぐずぐずと泣く美緒をよいしょと右腕で抱き直し、空いた左腕で後ろから聖奈の腰を引いた。
「冷たくするくせに」
「そんなこと…ないですよ」
「ツンデレ?俺、デレだけでいいけど」
「それじゃ、ただのおバカさんです」
「いいんだよ、それで」
だってバカ夫婦になろうって言っただろ。と、耳元で囁く。すると、くるりと体を反転させた聖奈が、ペタリと左肩に額をつけた。
「セナ、子供は産みません」
「どして?」
「だって…マナのこと取られちゃう。そんなの嫌です」
「んなわけねーだろ」
「マナはセナだけのマナなんです。誰にも渡しません」
自分の父親とうちの父親、両方じっくり観察してみろよ。と、言葉に出来なかった思いを呑み下して、ゆっくりと聖奈の長い黒髪を梳く。
「こりゃ。何やってんだ、お前は」
「だー!」
「ん?」
美緒の手にしっかりと握られていたのは、さっきまで洗濯機で回されていた俺の下着で。こらこら…とそれを奪い取り、ぶぅっと頬を膨らせた聖奈に手渡す。
「悪戯しねーの。こう見えて怒ったら怖いよ、うちの奥さん」
「だー」
全く理解していないだろう美緒は、今度は俺が持って下りたカバンの中身を漁ろうとカバンの上へとダイブした。
その拍子に金具で顎を打ち、火が点いたように泣き始める。
「やれやれ。忙しい奴だねー、お前は」
「いちゃー!」
「はいはい。痛い、痛い」
「いちゃー!わー!」
わーわーと声を上げて泣く美緒をあやしていると、ふと聖奈と視線がかち合った。
「どした?俺の下着握り締めて」
「あっ…別に」
「何だよ。お前も抱っこしてほしいのか?」
「ちっ…違いますよ!」
ふいっと背けられた聖奈の顔は、横顔でも見てわかるくらいに真っ赤で。肩に顔を擦り付けながらぐずぐずと泣く美緒をよいしょと右腕で抱き直し、空いた左腕で後ろから聖奈の腰を引いた。
「冷たくするくせに」
「そんなこと…ないですよ」
「ツンデレ?俺、デレだけでいいけど」
「それじゃ、ただのおバカさんです」
「いいんだよ、それで」
だってバカ夫婦になろうって言っただろ。と、耳元で囁く。すると、くるりと体を反転させた聖奈が、ペタリと左肩に額をつけた。
「セナ、子供は産みません」
「どして?」
「だって…マナのこと取られちゃう。そんなの嫌です」
「んなわけねーだろ」
「マナはセナだけのマナなんです。誰にも渡しません」
自分の父親とうちの父親、両方じっくり観察してみろよ。と、言葉に出来なかった思いを呑み下して、ゆっくりと聖奈の長い黒髪を梳く。