state of LOVE
どちらの父親も、嫁が一番の嫁バカなのだ。

自分の息子や娘が可愛くないわけではないし、愛していないわけでもないだろうけれど、それはどちらも愛する妻があってのこと。

千彩が産んだ子だから。
麻理子が産んだ子だから。

そんな思いが語られずとも伝わってきて、それを酷く寂しく感じたこともある。

「んじゃお前は、自分の子供に俺やお前みたいな寂しい思いさせても平気なわけ?」
「だから産まないって言ってるんです」
「頑固だねー。俺は欲しいよ、子供」
「どうしてですか?」
「だって、家族は多い方がいいだろ?子供が多い方が、子供同士で助け合って何とかしてくれるって」

俺とレイみたいに。と付け加え、泣き疲れて眠ろうとしている美緒を聖奈の元に寄せた。

「妬くなよ。こんなチビに」
「だって…」
「早く実家行こうぜ。俺、腹減った」
「もうっ」

ぶぅっと膨れた聖奈の頬に、キスを一つ。

カバンと一緒に持って下りた聖奈の厚めのストールを美緒に巻き付けて準備を終えた頃には、聖奈も洗濯物を干し終えて二階から下りてきた。

「準備OK?」
「はい」
「んじゃ行くか」

揃って玄関を出て、表の駐車場に停めてある車に乗り込む。

子供がいない家庭にチャイルドシートが常備されているはずもなく、今回だけ…と二人を後部座席に座らせて車を出した。
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