state of LOVE
「別に、拾ったわけじゃないですよ」
「どこにおったんや、その子」
「学校から帰ったら、うちの前に居ました。だから今日はちーちゃんのところへ行けなかったんです。いつから居たのかはわかりません」
「親は?」
「ママがいます。パパは…セナにはどの人かわかりません。夜のお仕事をしているみたいで、いつも夜中に帰ってきます」
「セナ、お前また…」
「けーちゃん、今の話聞いてましたか?違いますってば」

むぅっと不機嫌そうな表情をした聖奈に、ケイさんはしゅんと肩を落とす。

それをメーシーに呆れられ、居場所がなくなったケイさんはしゅんとしたままポツンとソファに腰掛けた。

「ちーちゃんと陽彩の様子はどうでしたか?」
「え?おぉ。元気や」
「日曜日には退院するんですよね?」
「千彩だけな」
「陽彩は?」
「はよ産まれたから、もうちょっとおらした方がええって」
「そう…ですか」
「心配要らん。念のため、や」

不安げな表情をする聖奈の頭を撫で、ハルさんはにっこりと微笑んだ。


ちーちゃんが子供を産むと言った時、最後まで反対していたのは聖奈だった。

お腹が目立ち始めた頃が一番酷く、何度も「やめたらどうですか?」と言ってちーちゃんを泣かせ、その度にハルさんに叱られていたのは記憶に新しい。

それがどうだろう。実際産まれてみれば、立派なお姉さんではないか。

陣痛が始まってから学校を休んでずっと付き添い、丸二日間寝ないでちーちゃんの傍を離れなかった。それはハルさんも同じだったのだけれど、無事に子供が産まれて一番に涙を流したのは、意外なことに聖奈だったと聞いた。

「しっかり練習しとけよ。暫く家帰るんだろ?」
「んー…そうですね」

泣き止んだかと思えば、今度は腹が減った!とメシを要求する美緒の口にジャガイモを運びながら言うと、ハルさんが首を傾げた。

「家、帰ってくるんか?」
「その…つもりなんですけど」
「どないしてん、急に。愛斗とケンカでもしたんか?」
「そんな風に見えます?」

美緒に食事を与える俺の隣に並び、聖奈はぴったりと寄り添っていて。これでケンカをしていると言うのなら、普段の俺達はどれだけ仲良しに見えているのだろうか。

散々冷たくされ、バカップルの返上さえ考えていたというのに。
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