state of LOVE
「子供、産みたくないって言ってたね」
「…はい」
「それは、自分と同じ思いをさせてしまうから?」
「そう…です」
「だったら心配要らないよ」
思わず頭を撫でてしまったものの、これはマナに知られては大問題になるな…とわざとらしくない程度に手を引いた。執着boyは、自分の父親相手にでも隠さず敵意を向けてくる。
我が息子ながら厄介極まりない。
「マナは、俺達とは少し考え方が違うみたいなんだ」
「どうゆうことですか?」
「彼のonly oneは勿論セナちゃんだけど、彼には彼の世界があるからね」
「えっと…それは…」
「要するに、彼が一番自分勝手だってことだよ。俺達の逆だよ。愛してるから、どんな自分でも受け入れてほしいんだ。愛情に対して貪欲なんだろうね」
これが俺達の子育ての成果だ!とは、到底胸を張って言えるものではない。けれど、失敗だったとは思わない。
マナに関しては。
「子供が欲しいって言ってるのも、自分を愛してくれる存在を増やしたいって思ってるんだよ。セナちゃんからの愛情だけじゃ足りないってわけじゃなくて、違った形も欲しいんだと思うよ。彼曰く、自分は両親を愛してるらしいからね」
八割嘘だと思うけど。と、出かかったものの呑み込んだ。軽口は新たな揉め事の火種になる。ここで俺が火種を撒いたとなれば、マナの怒りはさっきまでのものとは比べ物にならない。
まぁ…後半少し苛立っていたかな?とは思うけれど、さっきまでのマナの怒りは演技だ。それくらいは見抜ける。伊達に19年近く父親をやってはいない。
「彼は、自分が両親に愛されていなかったとは思ってないよ」
「…え?」
「愛されていたと思ってる。だから、気を遣ったんだよ」
「気を遣った?」
「そう。彼の瞳のことを麻理子が気に病んでね。だから、彼は麻理子にはあまり懐かなかったんだ。自分が傍にいることで麻理子が苦しむってわかってたから」
幼い頃から、空気が読める子供だった。俺でも驚くくらいにひとの心を察し、当たり障りの無い最善の道を選ぶ。
だからマナは優秀だったし、手も掛からず、麻理子ソックリでワガママ放題のレイの面倒も文句一つ言わずに見てくれた。
「…はい」
「それは、自分と同じ思いをさせてしまうから?」
「そう…です」
「だったら心配要らないよ」
思わず頭を撫でてしまったものの、これはマナに知られては大問題になるな…とわざとらしくない程度に手を引いた。執着boyは、自分の父親相手にでも隠さず敵意を向けてくる。
我が息子ながら厄介極まりない。
「マナは、俺達とは少し考え方が違うみたいなんだ」
「どうゆうことですか?」
「彼のonly oneは勿論セナちゃんだけど、彼には彼の世界があるからね」
「えっと…それは…」
「要するに、彼が一番自分勝手だってことだよ。俺達の逆だよ。愛してるから、どんな自分でも受け入れてほしいんだ。愛情に対して貪欲なんだろうね」
これが俺達の子育ての成果だ!とは、到底胸を張って言えるものではない。けれど、失敗だったとは思わない。
マナに関しては。
「子供が欲しいって言ってるのも、自分を愛してくれる存在を増やしたいって思ってるんだよ。セナちゃんからの愛情だけじゃ足りないってわけじゃなくて、違った形も欲しいんだと思うよ。彼曰く、自分は両親を愛してるらしいからね」
八割嘘だと思うけど。と、出かかったものの呑み込んだ。軽口は新たな揉め事の火種になる。ここで俺が火種を撒いたとなれば、マナの怒りはさっきまでのものとは比べ物にならない。
まぁ…後半少し苛立っていたかな?とは思うけれど、さっきまでのマナの怒りは演技だ。それくらいは見抜ける。伊達に19年近く父親をやってはいない。
「彼は、自分が両親に愛されていなかったとは思ってないよ」
「…え?」
「愛されていたと思ってる。だから、気を遣ったんだよ」
「気を遣った?」
「そう。彼の瞳のことを麻理子が気に病んでね。だから、彼は麻理子にはあまり懐かなかったんだ。自分が傍にいることで麻理子が苦しむってわかってたから」
幼い頃から、空気が読める子供だった。俺でも驚くくらいにひとの心を察し、当たり障りの無い最善の道を選ぶ。
だからマナは優秀だったし、手も掛からず、麻理子ソックリでワガママ放題のレイの面倒も文句一つ言わずに見てくれた。