state of LOVE
となればとっておきを…と、一度大きく息を吸い込む。
「セナちゃんが産まれた時、姫が危ない状態になったのは知ってるよね?」
「はい」
「その後、実はセナちゃんも一度危ない状態になったんだ」
「セナも?」
「王子はずっとセナちゃんにつきっきりでね。おかげさまでこっちは姫を誤魔化すのに苦労したよ」
「それは…知らなかったです」
「未だに姫に隠してるからね。あの時さ、王子言ってたんだ。セナは俺と千彩が一生大事にしていく宝物やから、今セナを失ったら俺らの一生もここで終わる。って」
勿論そこにはセナちゃんの言う「自分勝手」が見え隠れしているのだけれど、それを読むことが出来るのは、この一家ではマナくらいのものだろう。他に目を向ければあと二人くらいはいるけれど、あの二人の思考は人間の域を超えているから、わかって当然だとも言える。
「愛されてるよ、セナちゃんは」
「そう…ですね」
「すれ違いは、早めに歩み寄りに変えた方がいい。じゃなきゃ、マナに愛想尽かされちゃうよ?」
「それは…困りますね」
「だろ?」
ふふっと笑いながら扉を開くと、予想通りバッチリ二人と視線がかち合った。やっぱりね。と笑う俺に不機嫌そうに眉根を寄せ、王子は立ち上がる。
「ほら。パパが話したいって」
「パ…パ」
「セナぁぁぁ!ごめんな?わかってやれんかったけーちゃん許してな?」
おめぇじゃねーよ!とか空気読んで仕事行けよ!とか、ケイ坊に対して言いたいことは色々あったけれど、ここで父と娘の話し合おうとする空気に水を差すわけにはいかない。黙ってケイ坊の襟首を掴んで二階へ上がることで、俺は何とかそれを死守することに務めた。
あとはきっと何とかなる。本来俺のセリフではないけれど、ここは一先ず拝借しておくことにしよう。
「セナちゃんが産まれた時、姫が危ない状態になったのは知ってるよね?」
「はい」
「その後、実はセナちゃんも一度危ない状態になったんだ」
「セナも?」
「王子はずっとセナちゃんにつきっきりでね。おかげさまでこっちは姫を誤魔化すのに苦労したよ」
「それは…知らなかったです」
「未だに姫に隠してるからね。あの時さ、王子言ってたんだ。セナは俺と千彩が一生大事にしていく宝物やから、今セナを失ったら俺らの一生もここで終わる。って」
勿論そこにはセナちゃんの言う「自分勝手」が見え隠れしているのだけれど、それを読むことが出来るのは、この一家ではマナくらいのものだろう。他に目を向ければあと二人くらいはいるけれど、あの二人の思考は人間の域を超えているから、わかって当然だとも言える。
「愛されてるよ、セナちゃんは」
「そう…ですね」
「すれ違いは、早めに歩み寄りに変えた方がいい。じゃなきゃ、マナに愛想尽かされちゃうよ?」
「それは…困りますね」
「だろ?」
ふふっと笑いながら扉を開くと、予想通りバッチリ二人と視線がかち合った。やっぱりね。と笑う俺に不機嫌そうに眉根を寄せ、王子は立ち上がる。
「ほら。パパが話したいって」
「パ…パ」
「セナぁぁぁ!ごめんな?わかってやれんかったけーちゃん許してな?」
おめぇじゃねーよ!とか空気読んで仕事行けよ!とか、ケイ坊に対して言いたいことは色々あったけれど、ここで父と娘の話し合おうとする空気に水を差すわけにはいかない。黙ってケイ坊の襟首を掴んで二階へ上がることで、俺は何とかそれを死守することに務めた。
あとはきっと何とかなる。本来俺のセリフではないけれど、ここは一先ず拝借しておくことにしよう。