state of LOVE
ちーちゃんがいつまでもこの状態なのは、間違いなくハルさんの過保護のせいだろう。
それを完全に否定してしまうことはハルさんのちーちゃんに対する想いを否定することと同じなので慎むとして、もう少し「大人」として扱ってあげても良いのではないだろうか。実際ちーちゃんは、二児の母になった立派な大人なのだから。
「ちーちゃん、陽彩はどうしたんですか?」
「ヒロは検査やって」
「検査?どこか悪いんですか?」
「んー…ちさよくわからへん。でも、はるは大丈夫やって言ってたよ」
「もっとしっかりしてください。ちーちゃんは陽彩のママなんですよ」
「わかってるよ?」
何とも頼りない…と、今度は俺が口に出してしまいそうになった。
さすがに堪えたものの、二児の母になってもこのままなのは如何なものだろうか。ちーちゃん自身を否定するつもりは微塵もないけれど、陽彩の将来に少し不安を抱いてしまう。
「どうしてそう…ちーちゃんはいつまで経っても成長しないんですか」
「んー?」
「これじゃ心配でお嫁にいけません」
「セナ帰って来るん?」
「あー…もうっ!」
どうにもこうにも、この母と娘はいつだってこんな風に話が噛み合わない。
天然というよりも無知過ぎるのだと知ったのは、俺達がまだ付き合い始める前だったような気がする。
「そんなので大丈夫なんですか?」
「なにが?」
「子育てですよ。産んだだけではダメなんですよ?わかってますか?」
「わかってるよー。だってちさ、セナのママやもん」
ああそれ、何ヶ月か前にも聞いた。と、俺は小さく頷く。そんな俺をチラリと横目で見て、聖奈はとうとう深いため息を吐き出した。
「セナ、幸せが逃げるよ?」
「ちーちゃん、お願いですからもう少ししっかりしてください」
まるで「一生のお願い」とでも言いたげな聖奈の声に、ちーちゃんは珍しく苦笑いを浮かべた。そして、そっとセナの頭を撫でる。
「ごめんね、セナ」
「えっ…」
「ちさが大人になったらはるが悲しむから。だから…ごめんね」
ちーちゃんの世界は、おそらく「はるが好き」という想いばかりで成り立っているのだろう。だからいつまでも真っ直ぐで、純真でいることが出来る。
何て曇りのない人なのだろう。こんなにも色んな部分が汚れた世界で生きていくのは辛くないのだろうか。と、ふとそんなことを思った。
それを完全に否定してしまうことはハルさんのちーちゃんに対する想いを否定することと同じなので慎むとして、もう少し「大人」として扱ってあげても良いのではないだろうか。実際ちーちゃんは、二児の母になった立派な大人なのだから。
「ちーちゃん、陽彩はどうしたんですか?」
「ヒロは検査やって」
「検査?どこか悪いんですか?」
「んー…ちさよくわからへん。でも、はるは大丈夫やって言ってたよ」
「もっとしっかりしてください。ちーちゃんは陽彩のママなんですよ」
「わかってるよ?」
何とも頼りない…と、今度は俺が口に出してしまいそうになった。
さすがに堪えたものの、二児の母になってもこのままなのは如何なものだろうか。ちーちゃん自身を否定するつもりは微塵もないけれど、陽彩の将来に少し不安を抱いてしまう。
「どうしてそう…ちーちゃんはいつまで経っても成長しないんですか」
「んー?」
「これじゃ心配でお嫁にいけません」
「セナ帰って来るん?」
「あー…もうっ!」
どうにもこうにも、この母と娘はいつだってこんな風に話が噛み合わない。
天然というよりも無知過ぎるのだと知ったのは、俺達がまだ付き合い始める前だったような気がする。
「そんなので大丈夫なんですか?」
「なにが?」
「子育てですよ。産んだだけではダメなんですよ?わかってますか?」
「わかってるよー。だってちさ、セナのママやもん」
ああそれ、何ヶ月か前にも聞いた。と、俺は小さく頷く。そんな俺をチラリと横目で見て、聖奈はとうとう深いため息を吐き出した。
「セナ、幸せが逃げるよ?」
「ちーちゃん、お願いですからもう少ししっかりしてください」
まるで「一生のお願い」とでも言いたげな聖奈の声に、ちーちゃんは珍しく苦笑いを浮かべた。そして、そっとセナの頭を撫でる。
「ごめんね、セナ」
「えっ…」
「ちさが大人になったらはるが悲しむから。だから…ごめんね」
ちーちゃんの世界は、おそらく「はるが好き」という想いばかりで成り立っているのだろう。だからいつまでも真っ直ぐで、純真でいることが出来る。
何て曇りのない人なのだろう。こんなにも色んな部分が汚れた世界で生きていくのは辛くないのだろうか。と、ふとそんなことを思った。