state of LOVE
「…んなとこ居たらさみーだろ」
「平気です」
「意地張ってんじゃないよ、まったく…」

予想通り、聖奈は玄関口でそのまま突っ立っていて。出来れば先に電話しておいてほしかったなーなんてことは、言っても無駄だと知っている。

「電話するんじゃなかったのかよ」
「しますよ。今から」
「あーそうかよ」

ポイポイと美緒のブーツを放り投げちょんと床に立たせると、チラリと俺を見上げた美緒がニッと笑って構えた。転ぶぞ。と言う前に、聖奈の手が美緒の小さな手を取る。

「走ると転びますよ」
「だー」
「一緒にあっちに行きましょう」
「う゛ー」

今にも駆け出そうとしていた美緒は、地団駄を踏みそうなくらい不満げで。それにプッと噴き出すと、片手に携帯、もう片手に美緒の手を持った聖奈が首を傾げた。

「何ですか?」
「いや。いいママっぷりだなと思って」
「せめてお姉さんと言ってください」
「はいはい。すみませんでした」

そう言うものの、聖奈はどこか嬉しげで。ハルさんの薦めてくれた通り検査を受けさせようか。と、我が子を腕に抱く日を夢見た。
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